【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「じゃあ、俺行くけど。
手当てしても、まだ少し痛むと思うから、休んでから帰りな」
先輩はそう言うと、立ち上がり、保健室から出ていく。
怪我の心配すら、させてくれないなんて。
……そんなに、そんなに二人っきりになるの、イヤだったのかな?
引き留めたいのに、引き留めることができなかった。
告白の返事、どうせならちゃんとしてほしかった。
無理なら無理だって、そう言ってくれればいいのに。
期待させるだけさせておいて、簡単に突き放す先輩は、すっごく意地悪だと思う。
「……っ」
先輩にやってもらったテーピングに、目から溢れた涙が一粒落ちた。
伝えたもん。
伝えたけど、無理だった。
でも、それって。
本当に……伝わったの?
先輩とこれっきりにしたくないから、追いかけたんじゃないの?
ダメだよ、こんな簡単に諦めちゃ……。
このくらいで諦めてちゃ、そんなんじゃ全然足りない。
先輩を好きだなんて言う資格ない。