【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「……っ」
まだ間に合う。
先輩はまだ、学校から出てないと思うから。
先輩が手当てしてくれたおかげで、さっきよりは痛みがない足で、先輩を追いかけようと保健室のドアに手を伸ばす。
ーーガラッと開けて、廊下を走ろうとしたしたら。
保健室のすぐ横の壁に、腕を組ながらもたれかかっているミア先輩と目が合った。
「なんで……」
帰ったんじゃなかったの?
そう、言いたげな私の目に答えるよう、ミア先輩は意地悪な笑みを浮かべる。
「その足で、追いかけてくるほど俺のこと好きなんて」
「……」
「やっと、俺に落ちたね?
ーー天沢ちゃん」
「……っ!?」