【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
ムスッと頬を膨らませながら、お弁当箱を黄色いハンカチで包む。
立ち上がって、先に教室に戻ろうとしたとき。
ーータンタンと、誰かが階段を上って、こっちにやってくる足音が聞こえてくる。
「えっ……ちょっ、先輩どうしよう!」
こんなところ見られたらまずい。
小声で言いながら、焦っていると。
「天沢ちゃん、おいで」
ちょいちょいと先輩に手招きされ、なんの疑いもなく近づくと。
ーーグイッと強引に抱き締められるんだもん。
こんなことしてる場合じゃないのに!!
「先輩ふざけないでっ!」
「ふざけてない。
それと。天沢ちゃん、ごめんね」
「ーーへっ」
するりと、先輩は私の髪を二つに縛っているゴムを取ると。
その瞬間に、階段を上ってきた人と目があったのか、先輩は口を動かす。