【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「……っ!ほんとあんたって生意気!!」
怒り狂った先輩が、手を上げて、その手を私の顔に向かって振り下ろそうとすると。
まさか手を出すなんて思っていなかった他の先輩方は、焦って反応できないでいる。
反射的に目を瞑ったその時。
「お前らなにしてんだ……!!」
怒鳴り声と共に
ーーバンッ!!と勢いよく開く、トイレのドア。
開けたのは、ジャージ姿の男の先生だった。
「げっ、田中じゃん!!」
「やばい、最悪」
田中先生と呼ばれる人を見て、顔が青白くなる先輩達は。
バタバタと私を置いて逃げていく。
「あっ、お前ら待て!!」
全員で一斉に逃げるから、先生も捕まえきれなくて。
「大丈夫か!?」と、呆然とする私に駆け寄ってきた。
「だっ、大丈夫です」
「一年生だろ?君。
後輩相手にあいつらなにしてんだ……。
あとで反省文書かせないとな」
「いや、別に大丈夫ですよ……」
反省文書かせるなんて
そんなことになったら余計恨まれちゃうって!!