【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「斉藤、全然こっち見てくれないね」
私の耳元で、ミア先輩が意地悪なことを囁く。
その言葉に、ズキッと傷つく自分は。
なんだかミア先輩に振り回されているみたいで、すっごく嫌だ。
「……っ」
「あらら、傷ついちゃって。」
「……いちいち言われなくても分かってるよ」
「まだ話しかけてすらいないんでしょ?
ダメだなー天沢ちゃん。そんなんじゃ、いつまでたっても斉藤は振り向いてくれないよ?」
この人の言葉なんか真に受けちゃいけないのに。
深く傷ついてしまうのはどうしてだろう。
心に貼る絆創膏があればいいのに。
そしたらミア先輩の棘で傷ついても、手当てできるのに。
「……ミア先輩なんか大嫌い」
悔しくて込み上げてきた涙が、私の視界を輝かせる。
その輝きの中で、真っ先に映るのは、やっぱりミア先輩で。
私に大嫌いと言われて、ミア先輩の口角が上がる。
変だ、ヘンだ、おかしな人だ。
私が涙を拭いていると、ミア先輩の力が緩んだその隙に。
走ってはいけない廊下を全力ダッシュで、その腕から逃れた。