【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「……」
「……」
やばい、どうしよう。
お店から出て
私の家の方向に向かって歩いていることは分かってるけど、この状況で無言は空気が重い。
先輩って、ふざけてることが多いけど、けっこうお喋りなとこあるから。
話さない先輩なんか先輩じゃない様な気がして。
やっぱ駄目だ、怖い。
「あれ……?美秋……と、詩ちゃん」
下ばかり見ていたせいで、敵が前からやってきたことに気づかなかった。
声に反応して顔をあげれば、優愛さんがいて。
その隣と後ろには、友達が3人いる。
いかにもクラスの中心にいるタイプの人達と一緒にいる優愛さんを見て、思わず後ずさりしてしまう。
「おー、美秋じゃん久しぶり~」
「相変わらず立ってるだけでカッケェのな、お前」
「きゃ~美秋くんだ!久しぶりに顔見れてラッキー!」
男2人と、優愛さんの隣にいるギャルがミア先輩を見て、はしゃぎだす。
多分先輩の中学生の時の友達かな……?
皆が先輩を囲むから、その輪に加われない私は、なんだか置いてけぼりだよ。