【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。






「久しぶり、それじゃあサイナラ。」


それだけ言って、立ち去ろうとする先輩に
驚く元同級生達は、慌てて口を開く。


「ちょっ、それだけかよ!
 感動の再会してんだぜ?今」

「美秋らしいっちゃーらしいけど、もっとなんかないのかよ」


「美秋君のそういう冷たいとこが、女子に人気あったのよね~」



皆一斉に口を開くから、言葉がこちゃまぜだ。


でも先輩って昔からマイペースだったんだ……。


興味あるものにしか、自分からいかないタイプなんだろうなあ……ミア先輩って。



「悪いけど、いま後輩ちゃんとデート中だからさ。
 また次会った時にでも、話そう。」



そう言って、輪に入れない私の腕を強引に掴み、逃げようとする先輩。



優愛さんのときは、彼女って紹介してくれたけど。


いくら他校の人だからって、あまり多くの人に知られると、ミア先輩に彼女がいることバレちゃうから。


"後輩"呼びしたんだろうなあ……。


……あれ、なんでだろう。


ズキッとした。



別に隠すことなんか、学校で慣れてるくせに。



隠されたことにズキッとした。


自分から隠したいって言ったくせに。


これじゃあ自分勝手な女だよね、私って。






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