【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
「待って」
その一言に、ミア先輩の足がピタリと止まる。
いや止まったのは私で。
私を引っ張っていた先輩の足も、私のせいで仕方なく止まっちゃう。
「詩ちゃん、ちょっと借りたいんだけど……。」
小さな声で優愛さんが言う。
驚いた。
ミア先輩じゃなくて、私に用があるなんて。
でも、私なんかより先に
反応したのはミア先輩だった。
「はあ?なんで?」
「その、この前ナンパから助けてもらったし。
お礼もまだしてないから」
「……お前さ、なに考えてるのか知らないけど。
天沢ちゃんとお前を二人っきりにさせようなんて、そんなこと俺が許可すると思う?」
「……」
「相変わらず、全然俺のこと分かってないねー。
俺はもうお前と関わるつもりないから、天沢ちゃんにも関わらないでくれる?
じゃあね」