【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
▽
「さすがに心が折れた。」
放課後の教室は、秋にも似たオレンジ色の夕焼けで支配されている。
あの後、泣きながら教室に戻るなんて
クラスメイトにそんな情けない姿見られたくなくて、保健室へ直行。
今は机に突っ伏して、涙は枯れたけど、腫れた目のせいで、我ながら悲惨だと思う。
優愛さんのことも
ミア先輩のファンのことも。
さっきミア先輩に冷たくされたことも。
全部まい実ちゃんに話した。
そんなまい実ちゃんは、私にかけてあげる言葉が見つからないのか。
さっきから背中を優しく擦ってくれている。
何か言葉を思い付いたのか、まい実ちゃんの口が開く。
「ほら、ミア先輩ってなに考えてるか分からないとこあるから」
「でもさっ!確かに皆には内緒で付き合ってるかもしれないけど。
普通彼女にあんなこと言う!?」
「言わない。さすがにひどいよねミア先輩」
「ちょっとまい実ちゃん、先輩の悪口言わないでくれる?」
「同情してほしいのかしてほしくないのか、どっちなのよあんた!!」
「あーあ、これって絶対別れるパターンだよね?
てかもう話しかけないでって言われたし、自然消滅?それとももう振られちゃったの?」
「そんなに気になるならもう一度、ミア先輩に聞いておいで」
「無理だよ~、怖いよ~、死んじゃうよ~」
「……(ダメだこりゃ)」