【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
ごくり、と唾を飲むと、なぜか巨大化して見える教室の影に呑み込まれそうな勢い。
緊張に緊張を重ね、引き戸に手をかけた。
すると。
「そういえば斉藤、お前今日後輩の子とデートなんだろ?」
「やるねぇ~」
引き戸越しから、口笛と共に聞こえてくる楽しそうな声。
別に悪いことなんてしていないのに思わずその場にしゃがみ込み。
聴診器の様に耳を引き戸にくっつける。
盗み聞きなんてよくないって分かっていても、自分が話題にされていると分かってしまったら聞かずにはいられなかった。
「よせよお前ら、からかうなって」
あっ、斉藤先輩の声だ。
いつものように友達に囲まれながら、机の上に座って喋っている斉藤先輩の姿が目に浮かぶ。