【完】学校イチ人気者の彼は、私だけを独占したい。
クスクスと笑って、先輩は私から離れると。
出入り口で持っていた靴を落とし、その靴に足を入れる。
その背中を敵視していたら、くるりと振り返って先輩がまた私に目を合わせるから、思わず構えると。
「俺、小波美秋って言うんだ。
覚えておいてよ、天沢ちゃん」
先輩はそれだけ言って、今度こそ本当に帰っていった。
「さざなみ……みあ」
名前まで綺麗な人。
思わず声に出して呼んでしまうほど、あの人の妖しい雰囲気に呑み込まれてしまう。
「……って、ちがうちがう!」
私は大好きな先輩の靴箱に、ラブレターを入れようとしてたのに……っ!
あんな変な失礼な先輩に見惚れてる場合じゃない!!
「ミア先輩め……次会った時は、もう私に彼氏できちゃってるかもしれないんだから。
その時は舌出しながら自慢してやろっ」
えいっ!と、叶うように願掛けしたラブレターをシューズロッカーに入れて、私はその場から離れた。
学校は魔法だ。
だって恋に落ちるのには最適な場所だから。
それに予想もつかないような変な出会いだってある。
ミア先輩は、綺麗だけど、ちょっと変だし。
どちらかといえば、ああいう余裕がある人は苦手。
だけど、ほんと少しだけ、気になる。
それも魔法なのかもしれない。