囚われの王子様。
「俺、今夜同期会があって。一応俺の帰国祝いらしいから顔出さないと行けないんだよ」
「え!」
なにそれ!
焦った様子もなく、申し訳なさそうにそう言う須藤さんに私の方が焦ってくる。
慌てて腕時計を見ると、時刻は20時を少し過ぎたところ。
そんなに遅くはないけど、もう同期会が始まってる時間じゃないの?!
「なにしてるんですか!私の灯油なんてどうでもいいから早く行かないと!」
「どうでもよくないだろ?灯油切らしたら大変だって」
いやいや!同期会に、しかも自分の帰国祝いの席に遅れて行くほど大変じゃないでしょ。
須藤さんの、私のことを考えてくれている気持ちは有難いんだけど、それよりも申し訳なさが勝ってしまう。
そんな私を、須藤さんは落ち着いたトーンで宥めるように言った。
「どうせあいつら集まって飲みたいだけだし。というか、無理言ったの俺の方だから」