そのアトリエは溺愛の檻
「冬樹が頼み事なんて珍しいし、百音には話してるけど、俺がこの道進む都合で冬樹の人生を大きく変えたから借りもあった。親と和解できたのもこのアトリエも結局は冬樹のお陰だし感謝してる。だから、今回だけは仕事を引き受けたんだ。そうしたらまさかこんなことになるとは。雪乃の人気舐めてた俺も悪いけど」


二人の話を聞いて全身から力が抜けていく。
だってこんなの予想できるわけない。


「じゃあ、重秋さんは雪乃さんとは何もないんですか?」

「は? 待って、百音はあんなデタラメ記事信じてたの? 雪乃も即否定してたのに? というか、もしかしてその髪も」

私がゆっくり頷くと、重秋は「まじか」と呻きながら頭をかかえた。


「あ、俺、邪魔しちゃ悪いから帰るよ。そうそう、雨宮さん。先週あなたを見たことある気がするって言ったのやっぱり勘違いじゃなかったですよ。思い出しました。前に兄の写真を見たことがあったんです」

「冬樹、おい」

「写真?」

「これ以上言うと怒られるから詳しくは兄に聞いてください。それでは」


冬樹さんの後ろ姿を見つめた後、重秋を見た。彼は参ったように頭をかく。
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