そのアトリエは溺愛の檻
「まさか本人だと思わなかったから……」

「サークルをやめて将来のために準備をするのはもともと決まってたし、それが俺の人生だからって思ってた。周りも家のこと知ってるから引きとめたりしなかったし。

でも百音と話して、本当はもっと撮りたかったんじゃないか、ここで諦めていいのかって改めて考えるようになった。それで、サークルこそやめたけど、誰にも知られないように続けてたんだ。それで、翌年賞を獲って、決心がついた」



これってつまり、バルコニーで聞いた「この道に進むきっかけを与えてくれた人と約束した人生最高の一枚」に関する話ということだろう。まさか私だったなんて。


「いや、それにしても俺のファン第1号は無責任だな。俺はずっと待ってたのに。アキとして発表する写真もなるべくあの日展示してた作品と近い雰囲気にしたのに」


ツユクサの写真もコントラストの強い澄んだ青でとても綺麗だ。確かに考えてみると、化粧品の梅の写真も色こそ違えど、イメージが近い。


「だってまさかそんな有名になってるなんて思わないし……」
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