そのアトリエは溺愛の檻


翌朝早起きをして、カレンダーの打ち合わせをする。と言っても、今回確認した写真で進めていくと伝えるだけだったけど。


「倉橋のカレンダーって、毎年二ヶ月に一枚なの?」

「いえ、去年も一昨年も一ヶ月に一枚でした」


12枚だと費用も倍になるし、それ以前に多忙なアキが引き受けてくれなくなる可能性があるから今年は変えることになっていた。


「じゃあさ、もし形式の変更が可能なら12枚に出来ないか聞いてみてもらえない? こっちの金額今のままでいいから」

「いいんですか?」


二ヶ月で一枚の場合、書き込んだりが難しいので顧客に配る販促物としていいものかと、実は社長達が最後まで悩んだ点だった。

「うん。もっと百音と一緒に仕事したいから。それに俺、いずれ倉橋から百音を奪って東京連れていくかもしれないし、恩売っとかないと」



それって……。

「ま、当分こっちにいるから大丈夫だけど。でもあいつら来年結婚するからもう少ししたら婚約発表するからな。俺が撮ったのも披露宴用の写真だし」

「え、それが出たら東京帰っちゃうんですか?」

「そういう可愛いこと言うと連れて行くぞ」

「えっと、急には困ります」


嬉しいけどすぐには困る。だって私にはカレンダーの仕事がある。
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