王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
「この塗り薬を、こっちの布に塗って患部に当ててください。それとこっちは痛みどめです。食後に飲むお茶とかに一滴だけ加えて飲んでください。一日三回までです」
「お茶に?」
「ええ。グリーンリーフの薬は、シロップ状のものが多いんです。飲み物に一滴入れていただければ、それで十分効きます」
「本当かな。今いただいてもいいかい?」
ギルバートは疑問をそのまま言葉にした。王城に勤めている医師の出す薬は、苦いし、あまり効かない。彼らは手術といった作業は上手だが、内服薬についてはあまり詳しくないのだ。
「でしたら、お茶をお入れしますね。ちょっとお待ちください」
エマは奥に下がると「ジュリア、手伝ってちょうだい」と呼びかけた。もう一人同じようなダークブロンドの少女が下りてくる。
「妹のジュリアです。今すぐ薬を飲みたいそうなの。お湯を沸かしてくれる?」
「こんにちは。……分かった。ちょっと待ってて」
ジュリアはぺこりと頭を下げると、また奥に戻っていき、しばらくすると湯気の上がったポットとティーセットを持ってきた。エマが受け取り、店の棚から選別していた茶葉をポットに入れ、しばらく蒸らしてから入れた。
そして、座っているふたりの前に差し出す。
「セオドア様はそのままお飲みください。ギル様は、これを一滴」
エマが小瓶から薬を一滴たらすと、水面に波紋が描かれた。エマはそれをギルの前に置く。
「どうぞ」
ギルバートは半信半疑ながらひと口すすった。
喉を通る間に、温かさが体中に伝わっていく。ジンジンと痛んでいた肩の感覚が鈍くなり、顔をしかめるような痛みは消えた。