王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
「……あなたに、一つ内緒にしていたことがあるの。それを知ったら、あなたは前言を撤回したくなるわ」
「強情だな。なんだい言ってごらん」
促されて、エマは心を決める。
「私は……その」
それでも恐怖が消えずに、口ごもる。
ギルバートが好き。だから嫌われたくない。
でも何も知らずギルバートがエマを妃にすれば、今度はギルバートが糾弾されるかもしれないのだ。
エマの口からようやく重い秘密がこぼれ出た。
「……私、魔女なの」
「魔女?」
予想外にギルバートはははは、と笑った。
「シャーリーンが言ったことを気にしているのかい? 魔女だなんて物語の中の存在だよ。薬を作る人間がそうだなんて言っていたらきりがない」
あっけらかんとそう言われ、逆にエマはムキになった。
「本当なのよ。私は魔女なの」
「じゃあなにかい? 君はサバトに参加し、ほうきに乗って空を飛び、毒薬を作ったり人を洗脳して政治を混乱させたりするのかい?」
「そんなこと出来るわけないでしょう。でも私は薬を作る。……あなたが身をもって体験したような、人の意思さえ変えてしまうようなものも作れるの」
「それだけで……魔女なの?」
ギルバートは少し体を放し、エマの顔を両手で包んだ。