王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
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翌日もグリーンリーフは大人気だ。
「エマ、咳の薬あるかい?」
「子供が怪我しちゃったんだよ!」
「頭が痛くて死にそうだよ。エマ、助けておくれ」
「はいはいはい。ちょっと待ってて」
次から次へと訪れる客に、エマはいっぱいいっぱいになりながらも対応する。必要に応じて処置をし、緊急性のない人には販売だけをする。そして最後は笑顔で見送るのだ。
「無理しないでね。一番の薬は休養なんだから」
「ありがとよ。助かった。魔法みたいな薬だよ、ホント」
喜んで帰っていくお客を見送りつつ、エマは内心の動揺を押さえつける。
薬が効くのはいいことなのだが、よく言われる【魔法みたいな薬】という文言を聞くと背筋が冷える。
そのたびに、魔女だとバレないかが心配になってしまうのだ。
「やっと波が去ったねー」
ジュリアが母親が新たに作った薬瓶を持って売り場にやって来た。
「そうね。最近本当に忙しいわ」
ジュリアに返しつつ、エマの耳は小さな鳴き声をとらえていた。
「ごめん、ジュリア。ちょっと店番頼めるかな。……バームが戻ってきたかもしれない」
「おっけー」
売り場をジュリアに任せ、エマは急いで裏庭に行き、空を見上げた。
青い空に、黒と白と青色からなる鳥が飛んでいる。
エマは自然に笑顔になり、ピィッと口笛を吹いた。それに呼応するように鳥は高度を下げ、旋回しながら近付いてくる。
やはりバームだ。手を伸ばしたエマに、バームはキュキュと一鳴きしてから止まった。