王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~


「バーム」

「君はひとりじゃないよ。いつだって僕がそばにいる」

「そうね。ありがとう、頼りにしてる」

「困ったらすぐ呼んで。とりあえず縄張り争いで勝たないとね、君の近くにいられなくなっちゃうから」


バームは羽をひらりと広げて見せる。

鳥社会もいろいろとルールがあるらしい。
バームのこれまでの縄張りは城下町周辺だったのだから、これは縄張り荒らしになるのではないか? と思ったが、バームが傍にいてくれる安心感はエマとしても欲しいところだ。


「ケガしないで。相手にも怪我させないでね。私たちのほうが後から乗り込んできたんだから」

「円満かつ平和的に解決するつもりだよ。僕のほうはね」


しかし、ギュルッギュルッ、という威嚇するようがあたりから響いてくる。


「ほうら、お呼び出した」


なんてことないような態度で、バームはすぐに飛び立っていった。

< 26 / 220 >

この作品をシェア

pagetop