王太子様は、王宮薬師を独占中~この溺愛、媚薬のせいではありません!~
「でも……、呆れられたりしないかしら。私、この間セオドア様に、王太子様に気に入られなくて困っているなんて相談をしてしまったのに」
「恋をするのに理屈はないだろう? 君が好きだと思ったのならそれを素直に伝えればいいんだ」
「それに、お父様にもきっと怒られるわ」
「マクレガー侯爵は俺が説得してあげよう。セオドアは将来、騎士団を率いて国の守りの要になる男だよ。家柄だけで考えるのは有能な侯爵のすることではない、とね」
「……はい。ありがとうございます。ギルバート様」
ホッとしたように頬を染めて笑うヴァレリアは咲きたての薔薇のようだ。ギルバートも朗らかに笑っていて、通りすがる使用人たちは、微笑ましく彼らを見つめている。そんな人の中に、シャーリーンもいたことを、このとき、ふたりは気付いていなかった。
「……やばいわ。いつの間にか王太子様とヴァレリア様があんなに親しそうに……やっぱり、薬が必要だわ。私が彼の心をつかむために」
シャーリーンは綺麗に整えられた爪を噛み、悔しさに震える。
侍女は呆れたように、「そんなことをしては、爪の形が悪くなってしまいますわ。シャーリーン様、王太子様の心を射止めるにはまずは美しさを磨くことです!」とシャーリーンを引っ張って行った。