20代最後の夜は、あなたと
乾杯してボトルをあける頃には、ふたりともすっかり酔ってしまった。


「伊勢くん、私は札幌で何すればいい?」


「落ち着くまでは家のことやってほしい。


それから、パートとかやってもいいし。


俺、早く子ども欲しいんだ。


子どものこと考えたら、正社員として働くよりは、融通のきくパートの方がいいだろ?」


普段あまり話さない、本音が出たりした。


子どものこと、考えたこともなかった。


「雪、きれいだけど、暮らすとなったら大変だろうな」


「先輩は、慣れればどうってことないって。


札幌も都会だから、東京とあんま変わんないだろ?


まあ、俺としては、もう少し田舎で暮らしたいけど」


眠くなってきたので歯をみがいて、ダブルベッドに入った。


伊勢くんはすぐに手を伸ばして、私を抱いた。


プロポーズっていう緊張から解放されたからか、いつもより荒々しい動作に、少しとまどった。


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