Lingerie
そうなってしまえば、いくら愛情を抱いて求めようが、温もりを与えようがその価値は俺が伝えたい半分も彼女には届かない。
それでは、彼女を手に入れる前の不毛な葛藤の時間となんら変わらない。
欲しいのは彼女の体より……彼女の全て。
心も、体も、全部だ。
「はっ!?」
耳に響いたのはそんな驚愕の声音と…表情も。
決してやましい心持は無いと抱いて脱衣所の扉を開け放ったのに、捉えた彼女の無防備な姿には一瞬でその意識も崩壊しそうな。
タオル一枚…ですか。
触るには丁度いい。
いや、でもまて、なんか裸目撃するより妙な誘惑効果だぞタオル捲き!
しかも濡れた髪とかすっぴんのどこかあどけない雰囲気とか…。
ヤバい…抑制できる自信なくなってきた。
すでに危うい欲求がジワリ。
自分が思っていたよりももどかしい夜になりそうだと複雑な葛藤に悶えていれば、
「誰?」
そんな間の抜けた彼女の一言には程よく余計な欲を飛ばされ、「はっ?」と疑問の反応を返してしまったと思う。
「……風呂で転んで頭打って記憶障害でも起こしました?つい数時間前に恋人になった九条爽ですけど?」
そう、淡々と切り返してはみたけれど。
ああ、でもそうか。
そういえば彼女の前でこうして髪を上げていたのは初めてか。