Lingerie
「っ…九条くん……」
「………今日は、モスグリーンの下着にしましょうか」
彼女の余裕の無い声音に束の間でとてつもなく不毛でもどかしい恋人もどきの時間を終える。
そうして肌に印を刻めぬ代わりに自分の下着を身につけさせることでせめてもの独占欲の証明。
彼女を捕えおく枷にも等しい。
「グリーンは……心を安定させる効果がある」
「…そうなんだ、」
そんな知識を語りながら優しい所作で彼女を縛って、それでも消化できぬ欲を、
「ミモリさん、…お待たせです」
「待ってない」
はい、知ってます。
待ってないと言うその目はこの瞬間を待ち焦がれていたように揺らす事を。
そして待っていて、待ち切れずに両手を広げるのは俺の方だという事も。
だって、ただ一つ、本当に駆け引きのような感情なく出来る彼女との恋人の様な時間。
待っていないと言いながらも抱き寄せれば安心したように身を預けてくる。