Lingerie







何で、イズミと仲よく話し込んでるんだよ。

ふらりとデザイン部に姿を見せた彼女の目的は多分俺である筈だというのに。

新商品の生地をアシスタントと一緒に選別している時の訪問であった、だから彼女としてもタイミングを見て声をかけようという気遣いであったのだろう。

そんな姿にこれ良しと近づいていったのはイズミの姿だ。

あんな宣言をされてからの彼女への接近は正直仕事なんか手につかない程気が気じゃない。

何を話しているのかまではこちらには響いてこず、ただ親し気にとても近い距離で砕けて話し込んでいるのは分かる。

俺の前ではまだどこか遠慮がちな癖に。

まだ様子や反応を伺って、手さぐりでその距離を詰めるくせに。

イズミの言う通りだ。

どっちがより近づける距離関係であるのか。

俺の彼女に近づくな、笑いかけるな、気安く……、

っ……気安く触るんじゃねえっ!

不意に盗み見た瞬間、イズミの手が甘やかす様に彼女の頬に這わせられるのに我慢の限界だとその身が動いた。

気が付けばイズミの手に渾身の力で手刀をかまし、「仕事しろよカマ野郎」と尤もな理由を取ってつけて響かせる。


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