Lingerie~after story~
それにしたってしつこい男だ。
あくまでも声かけを無視して逃げる様に歩みを進めているというのに、擦り込まれた雛か!?と言うくらいに私の後ろをついて回ってピーピーと鳴く。
それだけならまだよかったのに、段々と痺れを切らしたように、
「ねえってば、」
二の腕に絡んできた馴染みのない指の感触にはさすがに気色が悪いと眉根が寄った。
さすがに振り返れば男の薄っぺらな愛想笑いに捕まって。
いい加減鬱陶しい。
ってか、絶対に厄日だ。
もうっ、九条くんもイズミも嫌いっ!!
そんな叫びを心で喚いた瞬間と、背後から伸びた手が鬱陶しい男の顔を掴みこんだのはほぼ同時。
刹那に……
「触んな……」
耳元近くで弾かれた、さすがに馴染みのないイズミの低く不機嫌な男の声音。
その言葉が向けられているのは私ではないのにゾッとしてしまう効果のある声音。
ええっ?と驚き振り返ればその顔には一応の笑みははっつけてある。
だからこそその声音とのアンバランスが余計に恐怖を煽るのだけども。
「金曜の夕方に女をナンパとか暇人だな、おい」
「っ……」
「無駄にお盛んなのは一向に構わねえけど………こいつだけは安い感じに誘わないでくれない?」
「いや…その……」
「お願い、」
「っ……」
初めてだ。
『お願い』と下からの言葉をこんな威圧的に相手を怯ませながら言い切る人。