Lingerie~after story~


さすがに……フリーズだ。

「だから…人前でキスしてくんなって何度言えば分かんだよ」

「いいじゃない。久しぶりの愛情表現だもの、優しく添い寝だってしてあげる」

何度もって……添い寝って……。

何度もキスする中で、添い寝なんかもしちゃう仲で……。

九条くんも……口調はあんなだけど……

「フッ……本当……いつ会っても変わんねえな」



「っ……」

あんな風に……柔らかい顔しちゃう相手なんだ。

う……わ………

なんか……目が回りそう。

何かの恋愛ドラマでも見ているような美男美女の抱擁。

確かに自分の恋人だと認識していた相手なのに、対峙するのは全く知らない綺麗な女性で。

一緒に居た時間に理解し馴染んだ感覚から、彼も相手に対して気を許しているのだという事が分かってしまう事が辛い。

これは……何?

だって、コレは……浮気…ってやつ?

急にキャンセルされたのはこの人に会う約束を優先されたって事で…、しかも……帰ってこないって……。

嘘………。

体に蓄積されていたアルコールなんて一瞬で分解されて飛んでしまった気がする。

突然突きつけられたリアルに持ち得ていた熱も急速に引いてゾクリと震えそうな程。

どう動きを取っていいか分からず、ただ放心状態であの場の主役の様な2人を見つめていたけれど。

「っ……」

不意に彼の顔がこちらに動いた事には危険予測の様に体が動いた。

瞬時に背を向け来た道をコツリコツリと足早に戻り始める。

大丈夫。

一瞬過ぎて顔までは見られていない筈。


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