Lingerie~after story~
九条くんは不機嫌を表面に出していても優しい人だ。
そんな事を今再確認しても素直に喜んでいいのか分からない。
まだ何も解決していない今はむしろ疑心暗鬼の方が優勢すぎて苦しくなる。
こんな私は…、こんな感情を抱くのは嫌なのに。
泣きたい……。
でも、泣きたくない。
気を抜けば情けない形に変形してしまいそうな口元をキュッと結び直して意識も張り直す。
相変わらず音を発しない姿について歩いてエレベーターに乗って、静かに上昇する小さな箱に身を預けて。
響いた到着音が静かなるコングに聞こえた。
心なしか人が少ないのは絶妙な時間帯だからだろう。
食事時から今はアルコール片手の歓談タイム。
敢えてあまりビュースポットとは言えない裏手に回れば更にその人っ気は皆無。
それでいい。
綺麗な夜景を眺め歓談をしに来たわけじゃない。
これから場合によっては修羅場であるかもしれない2人にはおあつらえ向きと言う場所か。
修羅場………。
それはやっぱりなんか嫌だな。
なんて、ここにきて保っていた憤りが尽きそうな自分の現状には呆れる。
だって、やっぱり愚かにも憤りよりも悲哀の方が勝ってしまって。
九条くんに捨てられてしまうのでは?なんて思うと…切な__
「ほら、とりあえず黙っててあげるから一通り吐き出せば?浮気の理由」
あっ……コングが再来。
カーンという音と共に私の闘志を一気に上げてきた九条くんには拍手を送るべきか。