Lingerie~after story~
あっ、死んだ。
そう思うと同時に自分の意志と関係なく動きを感じる自分の体。
動いたのはイズミの体で、向かってきた拳を予測しきって受け止めた瞬間だ。
パシンと乾いた響きが耳の奥で反響しているのを感じながら瞬きを忘れた双眸で捉える彼の不機嫌の極致は、私から呼吸をも奪って畏怖に沈める。
そして一言、
「死ぬか?」
それは……どっちに向けての狂気?
イズミ?もしかして私も!?
決して怒鳴っているわけでないのに向けられる威圧は絶対的にこちらを縛りに来て、情なんてまるで持ち合わせていない様な双眸の眼光には言い訳の言葉さえ摘ままれる。
そんな緊張感に満ちている場であるのに、一番にその狂気を向けられているであろう姿はまるで動じずにクスリと笑うのだ。
「まあまあ、そう怒らないの。ほーんと仕事以外はお子ちゃまなんだから九条ったら」
『もうっ、』なんてこの不機嫌の極致状態な九条くんの鼻先をツンツンするイズミは強者かもしれない。
お願いだからこれ以上刺激しないでと切に願う私を他所に、どこまでも緊張感のない笑みと口調で子供をあしらうようにこの現状を楽しんでいるようなイズミ。
当然不機嫌な彼が大人しく弄られているはずもなく、鼻に触れていたイズミの手をパシリと手の甲で払い、開いた口が不満の声を漏らさんとしたのを遮って、
「ミモリの誕生日祝うくらいいいでしょ?」
そんな単純な一言が驚くほどこの場の空気の緊張を緩める効果を発揮する。