Lingerie~after story~



歩み近づく間に必死にそんな予行を立て上げると残りの距離の間に取り繕いにも仕事モードな自分を作り上げる。

どういう心持か、向こうも特別過剰な親密さを見せるでもなく、綺麗な顔に無を貼り付け何食わぬ様子で歩みを進めたその姿は至近距離。

ああ、こんなに近くに寄ったのは本当にあの日以来ではないだろうか?

お互いにお互いの仕事をその手に抱えて、真逆の進行方向へ足を進めていればそのすれ違いの瞬間は避けて通れない。

「っ……お疲れ様です」

うっかり久しぶりに間近に捉えた姿に用意していたそんな一言を言いそびれそうになり、慌てて吐きだした響きは不自然ではなかっただろうか?

そんな思考が働いたのは彼とその身が真横に並んだ瞬間で、そこから更に一歩踏み込んだ時にはふわりと香った彼の残り香に哀愁を感じ、更に一歩踏み込んだ瞬間には、

「え……っ____!?」

抱いた哀愁なんて一瞬で消えた。

二の腕に絡んできた熱や感触に驚かされ、そのまま引きに来る力に混乱させられ、振り返った瞬間に一気に埋められた顔の距離には思考停止。

フリーズ、フリーズ……

でも……比例して心臓だけが爆発的に可動しているのは痛い程理解する。

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