Lingerie~after story~
刹那の口づけだ。
本当に押し重なるだけの口づけ。
重なったと思った次の瞬間には離れ、捉えにくかった彼の顔が鮮明に視界に収まり始める。
あまりに一瞬の出来事にキスをしただなんて意識が追い付かず、最初の驚愕のまま間の抜けた表情で彼の綺麗なオッドアイを見つめていればチラリと本能的な危うさが揺れたと同時、
「……煽るなよ」
「っ……は!?」
「他人行儀でつれない事務的挨拶とか……どんだけ煽り上手なわけミモリさん」
「っ~~し、しらなっ……ってか、他人行儀とかどっちが……ってか、今、今っ!!」
キス!!
キスしたよね!?
会社のこんないつ誰がいるとも分からない場所でキスぶちかましましたよね!?
さすがに追い付いた意識に一瞬で羞恥に染まると同時、慌てて周りの確認に勤しんで首を振ってしまう。
よし、誰もいない。と安堵してようやく視線を戻した時にはクスクスと笑ってその身を動かし始めている彼の姿を捉える事になった
「実に不自然な他人行儀で可愛かったよ、ミモリさん」
「っ……」
クックックッと喉を鳴らすような控えめな笑い声は上機嫌の物だろう。
そんな音を響かせながらヒラリと片手を上げて背を向ける彼には『寂しい』より強く、なんだかしてやられた気分に満ちて『悔しい』と心の中で地団駄を踏んでしまう。
踏んでしまうけど……。
「っ~~~」
ヤバい。
……なんて単純。