Lingerie~after story~
久しぶりに……九条くんに触った。
……触られた。
逢瀬とも言えない仕事の合間の偶然で些細な遭遇だ。
それに至るまでの不毛すぎる時間と比べものにならない微々たる分単位の接触に過ぎないのに。
会話という会話も成り立っていなかったのに。
なんか……物凄く心の重みが軽減するとか…。
単純にもほどがあるでしょ……。
ああ、でも…イズミの言っていた事の実証かもしれない。
『簡単よ。とりあえずの欲求不満を少しでも埋めればいいだけよ』
まさにそれなんだと思う。
馬鹿みたいだけども、子供の様な感覚だけども。
九条くんと話せた、九条くんに触れた、触ってもらった、……キスされた。
ほんの束の間の一瞬の抱擁とは言え欲求不満の解消。
単純だけど……悪くなく、それどころか停滞していた他の意欲にも効果は良好で、
「………仕事しよ」
さっきの様な言い聞かせじゃない。
満たされた感覚の余裕に靴音を弾ませて、気を抜けば上がってしまいそうな口元を意識しながら仕事にその身を戻していった。