Lingerie~after story~
馬鹿みたいだ。
少し前までこれが当たり前の時間だったじゃないか。
そんな慰めさえ最早無効。
それもその筈。
だってここ数日、そんな言葉を自分に言い聞かせ、抑制を繰り返した果てがあの状態だったのだ。
自分が声を発しなければ静寂の部屋に響くのは機械的な音ばかり。
時計の針の音が変に大きく感じ、冷蔵庫のモーター音に追い詰められているような感覚に限界を感じたからこそ、独りと言う感覚に焦りを抱いた自分だったのだ。
それで……九条くんと恋人になったのよね。
『触らせて』
「っ………」
思い出してしまえば恋しいが故に眉根が寄る。
変に熱くなる体を抑制しようとするのはその熱が無意味になって虚しさが余韻として残るのが分かっているから。
分かっているのに……。
思い出さなければこの寂しさをやり切れないのだから困ったものだ。
「……寂しい」
感情の吐露であるのなら、独り言であるのならこんなに簡単に音として零せるのに。
本人に向けてはどうしても形に出来ない自分の性質に嫌気がさす。
イズミの言うように『寂しい』なんてLINEをしてみる?
いや、そんな後にも残る恥は絶対に後々の自分の羞恥が目に見えてだ。