Lingerie~after story~
耳に唇を押し付けて、直に吹き込みにくる懐く様な声音には動悸が強まる。
私だって、ずっとこうしたくて、九条くんに甘えたくて。
甘えたくて……。
「……【甘やかされて】あげる」
「んっ、フフッありがとう」
どこまでも意地っ張りな言葉の選別で、中途半端であった手をスルリと彼の背中に回して身を寄せる。
ピッタリと寄り添ってしまえばお互いの心音さえはっきりと伝わり、私の体にはどこまでも一定で心地のいい九条くんのリズムが響く。
九条くんに伝わる自分のそれはきっといつだって平常より早いもので、今までもこれからも平常のリズムなんて彼が理解出来る日はこないんじゃないかと思う程。
それにしても……久しぶりの逢瀬故の甘さであるのか。
数時間前の危うさなどまるで皆無な今の彼。
どこまでも甘くて柔らかくて、時折愛でる様に肌に唇が押し当てられる。
なんか……なんかさ……、
「機嫌……いいね」
「ん?」
「なんか……甘くて……優しいなって思って……」
「俺は基本寧々さんに対しては甘くて優しい男な筈だけど?」
『そうだろうか?』
そううっかり音にしてしまいそうになるも、なんとかギリギリで口の中に留めて飲み込む。
下手な事言って、せっかくの九条くんからの甘さが地獄タイムに変貌するのは御免だ。