Lingerie~after story~
九条くんとつきあうようになってこんな感覚は何度目だろうか?
あまりの思考の崩壊に『どうでもいい』と全てを放棄したくなる感覚。
あまりの熱さに全てを脱ぎ捨てて、躊躇いも戸惑いも意地っ張りさえも。
そんな感覚を煽るように、耳から頬から首筋から、柔らかく落とされる口づけに目を細め溜めこみすぎた息を吐きだし。
徐々に浮上する欲求に、まだ残る理性で躊躇い彼の背中で服をキュッと掴むと、
「……ねえ、無茶ブリしていい?」
「ん……なに?」
「………好きだって言って、」
「っ………」
「今……凄く言われたい」
狡い……。
そんな心底渇望するように言わないで。
甘えて強請って……。
どう考えたって、『無理』なんて言えない空気を作り出して逃げ道を閉ざしておいた癖に。
前もって、私の理性の殆どを溶かしに来ていた用意周到の癖に。
「……狡……」
「うん、卑怯だって言ったでしょ?」
「………九条くんは……狡いなぁ、」
そんな狡さに……まんまとやられる。
それでもいいかなんて彼の狡さを受け入れてしまうんだ。
「………九条くん、」
「うん、」
「……後ろ向いて、」
「フッ……」
私の要求に返されたのは耳に優しい失笑のみ。
意地悪な突っ込みもなく、のそりとその身を反転させた彼の背中を視界に収めた。