Lingerie~after story~
当然九条くんが歩む先には今日もまたお人形の様に美しく、少女と見紛うばかりの姿がスーツケース横に立っていて、彼の呼びかけにやや眉根を寄せながらこちらに視線を動かしたのだ。
咄嗟に彼の背後に身を隠した私はヘタレだろうか…。
だって、もの凄く緊張してきたよ!?
だって、だって…今思い返せば九条くん『会わせたくない』って…。
「爽、あんたって子は。どんだけ薄情なわけ?」
「悪かったって」
「昨夜血相変えて飛び出して行ったかと思えば帰ってこないとか。あんたいつまで反抗期よ」
「いや、俺にだって私生活の優先事項ってものがあるんだってアリアさん」
「仕事馬鹿なあんたに優先事項があるとは知らなかったわ」
「あるんだって……、」
ああ、親子の会話だな。なんて呑気に聞き入れていたのはここまで。
不意に背後に回ってきた手が私の手首を掴んで引き寄せて。
予想外のタイミングであったそれには抗うなんて意識も浮上させられないまま、強制的に九条くんの前へと突き出されてしまっていた。
…つまりは…九条くんのお母さんの前に。
わぁ……近くで見てもお人形さんだ…。
そんな思考は勿論現実逃避。