Lingerie~after story~
ようやく私の体ではなく、顔や本質を捉えて見てくれたらしい九条くんのお母さん。
さすがにここまでのドタバタを経てであれば無意味な緊張など抱くこともなく一息つくことで冷静さを整えると、背中に張り付いていた九条くんを解いて丁寧に頭を下げた。
「九条く……爽さんとお付き合いさせていただいてます。不躾とは思いましたが、一度こうしてお会いして挨拶をさせていただきたいと爽さんに申し出て押しかけてしまいました。こうしてお会いしてご挨拶できた事嬉しいです」
ゆっくりと、自分の胸の内を語り彼女の双眸を見つめ返せたと思う。
怯むことなく、焦ることなく、冷静な自分で対峙しいると、絡んでいた水色の双眸が不意に疑問を孕めて方眉を上げる。
「……あなた、」
「…はい?」
「………どこかで……会った事ない?」
「いえ、直にお会いしたのは今日が初めてかと…」
その疑問に対してはそう返す他答えはない。
むしろその問いかけにこちらの疑問も浮上して、お互いに似たような表情で確かめ合う様に見つめてしまっていたと思う。
だって、初対面の筈だ。
そりゃ同じ社内にいたのだからそこで見かけたという類の記憶なら別だけども。