Lingerie~after story~
確かに同年代の若者と言うような年齢層には見えないけれど、ジジイと称する程の年齢は感じない。
程々に皺は刻まれて居るけれどそれすらもその人を完成させる要素の一つ。
艶やかな黒髪は綺麗に後ろに流されて、私を見つめる目元は鋭くも垂れてもいない。
それでも、整った容姿であると言えるだろう。
綺麗な人だ。
「お嬢さんは……そうか、この着物を目利き出来るお人らしい。だからこそ濡れぬ様にと動いてくれたのでしょう?」
「着物もですが……、その、雨にお困りかと」
「……」
「傘をお持ちでなくて……困られておられたのかと…勝手に推測してしまいました。差し出がましい行動で逆に気を遣わせてしまい申し訳あり___」
「ああ、いえね、実際その通りでどうした物かと空を見上げていたんですよ」
「え、」
「訪ね人があって、気合いを入れて洒落込んで出向いたんですが……、どうやら雨と一緒にふられてしまって。迎えの車もどうやらこの天候による渋滞にハマってしまったようでね」
困った様にはにかみ事情を告げる姿は小さく息を吐くと再び曇天にその目を向ける。
まるで雨の隙間を探っている様に。
不思議な人だ。
本当に、この人がこうしていれば雨の切れ目があるんじゃないかと思う。