Lingerie~after story~
そうして今は……何やら大きなお屋敷の客間らしきお座敷。
純和風の建造物は門構えから立派なもので、表札さえ掲げられず、門をくぐっても玄関までは距離がある程。
その間も手入れの行き届いた草木が出迎え、季節の花が色鮮やかに咲き誇っていたのを記憶している。
入った瞬間に思ったのだ。
ああ、この人と同じ空気の場所だと。
俗世とは別離されたような概念を忘れる様な場所。
一体何者なんだろう?とは思ったけれど、まず先走る優先事項は負傷させた事実の方だ。
入った瞬間から香るほのかなお香の香りにも好感を抱きながら、最終的には案内され促されるままこの客間に。
途中歩きぬけてきた廊下も隅々まで手入れも掃除も行き届いており、決して新しい建物でないと思うのに艶があった床板。
その横に続く中庭の景観の良さと言ったら。
少し……似ている。
自分の育った環境に。
そんな思考が小さく過った事をさらりと奥へ押しやって、改めて対面した姿に謝罪を響かせたのが今の時間だ。
「とりあえず……そうですね、お互いに塗れた衣服を着替えましょうか」
「えっ?いえいえいえ、そんな、大丈夫です、もうこのままお暇させていただきますから。怪我をさせてこれ以上ご迷惑は…」
「成程、私に『若いお嬢さんに不親切で、服の一枚も貸し出さなかった』という印象を貼りつけたいと、」
「っ……滅相もな」
「フッ……冗談ですよ」
「っ………」
なんか、なんか……遊ばれている?
いや、全然いいんですよ。
遺憾露わに罵声を浴びせられ罵られるより全然いいんですけど。