Lingerie~after story~
多分、ワザとであるらしいどこか意地悪な言葉の選別。
クスクスと笑う姿はどこか楽し気に私を見つめて憤りなんてまるでない。
ああ、でも確かに、ずぶ濡れだ。
お互いに。
私はともかくこの人には早く着替えて頂きたいな。
「あの、本当に私はタオルでも貸していただければ大丈夫ですので、こちらは気になさらずお着換えください」
「じゃあ、あなたも着替えて頂けると言うのであれば私も着替えましょう」
「いや、本当に…」
「私に風邪をひかせたいと?」
「っ……お言葉に……甘えて」
「フフッ、じゃあ、着替えを用意いたしましょうか」
完全に敗北だ。
笑顔や物腰ばかりは酷く柔らかく優しいと言うのに、発する言葉の意地悪さには勝ち目がない。
特に自分に引け目がある今は、この人の言葉に逆らう術が見つからない。
結果、立ち上がり促されるままに今とは違う部屋について行く流れとなり、入り込んだのは立派な桐箪笥の並ぶ小部屋と言うのか。
まあ、小部屋と言ってもさっきの部屋よりは小さいという感覚か。
本当に立派な家だと改めて見渡している自分の鼓膜を掠めるのは桐ダンスが開かれるシュッという独特の音だ。