Lingerie~after story~
とりあえず中にと身を起こし、改めて視界に収めた部屋の中。
目に止まったのは鮮やかな青紫の紫陽花と、花ばさみと花器。
「活けるんですか?」
「庭の色彩をこの部屋でもあやかろうかと思いまして。……しかしながら…思いのほかままならなくて」
「………あ、……申し訳ありません」
ままならなくて、とどこか遠慮がちに発せられた一言ではあったけれど、『ままならない』の原因は負傷した右手首のせいだろう。
それに気が付いてしまえば申し訳なさの急浮上。
緩々と眉をさげてしまうと、すぐに気が付いた姿は片手を上げてそれを宥めに来る。
「いえいえ、………ああ、でも、せっかくなのでお詫びと言う形で私の代わりにこの花を活けて頂こうか」
「……えっ!?い、いえいえいえ、そんなそんな、私なんかの手前でこのお部屋を濁すわけには、」
「フフッ、手前なんて。良いんですよ。堅苦しい事無しに好きな様に思うままに挿してください。私はそれを評価するでもない。審査するでもない。あなたが挿した花を見てみたい。それだけです」
「っ……」
「誰と比べる必要も張り合う必要もない。他人の目も気にしなくていい。自分が思うように好きに活けてやってください」
「………分かりました」
本当に……不思議な人だ。