Lingerie~after story~
パチン、パチン…。
静寂の部屋に響いていたのは外からの雨の音や花ばさみの金属音。
そんな時間をどれほどなのか。
いつの間にか一心不乱、目の前の存在や向けられていた意識さえ気が付かなければ、いつの間にか不在であった事も気が付いていなかった。
だから、最後の一挿しをし、張り詰めていた糸を緩めるように息を吐いた刹那、
「ああ、終わりましたか」
「っ…」
真っ正面には捉える事の出来なかった姿の声音は真横から。
声に引かれ首を捻れば、お盆を手にした姿が今ほど部屋に身を戻したらしい。
お盆の上には冷茶が2つ。
「随分と集中しておられた」
「す、すみません。もしかして何か声かけなんか…」
「いやいや、そんな無粋な真似してませんよ。実に楽しそうな良いお顔をしておられましたし」
「楽し…そう…」
「……風流ですね。不規則で無造作で自然的で。……本当に、庭にあるままを部屋に持ち込んだ様な、」
「あ…はい。その方がこのお部屋に映える気がして。お庭からの自然が続く様な…」
「とても美しいと思いますよ。………実に良い」
「っ……ありがとうございます」
こうして自分の活けた花に賞賛ばかりを与えられたのは初めてかもしれない。