Lingerie~after story~
いつもは厳しい目で欠点ばかりを見つめられて、必ずと言っていい程比べられ認められない。
そんな繰り返しであったからか。
忘れていたわ。
好きだったのよ。
着物もお花も、他のお稽古だって嫌いではなかった。
それでもどんどんと自信を喪失し苦痛になっていったそれら。
自分らしさとか、好きなようになんて感覚はいつの間にかなくなって、ただひたすらに人の目を気にして気にして。
でも、自分の感覚を優先させればこうして楽しいと熱中できるものであったのだ。
それを自分でも改めて感じる様に、目の前で鮮やかに広がる紫陽花の群れを見つめて口の端をゆるりと上げた。
「姉上の挿された花も素晴らしいが、私はあなたの感性の方が好ましい」
「っ……えっ?」
「姉妹ですね。顔立ちがよく似ておられる」
「っ……あの、」
「あなたは水守家のお嬢さんでしょう?水守 清忠氏のお孫さんでは?」
「っ……」
「ああ、申し遅れました。徳嶺 嘉一(とくみね かいち)と申します」
「っ___」
もう、咄嗟だ。
本当に名前を聞き入れた瞬間に両手を着いて頭を下げてしまっていた。
心臓が爆発的に跳ねあがり、今まで穏やかであった心中が一瞬にして緊張感を取り戻したと思う。