Lingerie~after story~
だって、徳嶺って…。
「知らずとは言え、無作法の数々申し訳ありませんでした」
「あはは、そんなかしこまらないでください。無作法だなんて、とても行き届いた礼儀作法に感心して、次にお爺様のお会いした時にはお話しようかと、」
「申し訳ありませんっ」
「あ、いやいや、本当に嫌味の類ではなく褒めているのですが……参りました」
ああ、確かに困ったような声音と失笑。
それにはさすがに反応して緩々と頭を上げていく。
そうして恐る恐る視界に収めたのは咎める様な眼差しや態度ではない、どこまでも穏やかに私という人間を見つめて微笑む温和な姿だ。
徳嶺家。
あらゆる芸道に通じている家元であり、財界の大物とも言える。
同じ様な道を歩む家系としてその名を知らないものは居ないだろう。
接点がなくとも、表舞台に出る事のなかった私でさえその名を知っている。
だからこその緊張と恐縮なのだ。
私の祖父も大物と言えば大物。
それでもこの名の響きには及ばないだろう。
徳嶺家。
そうか、この人が……。
「申し遅れました。……水守家次女、水守寧々と申します」
「寧々さん」
「本当に何とお詫びしていいのやら、」
「お詫びですか?」
「度重なるご無礼を、」
「そうでしたか?私にはあなたの親切心や楽しい時間の記憶しか頭にないのですが?」
「っ……」
再び下げていた頭を静かに上げれば、やはり向けられるのは変わらぬ笑みと緊張を解きほぐす言葉の羅列。