Lingerie~after story~



「また、お着物を返上しに参りますね」

「その理由以外にも、お会いできるでしょうね」

「……はい?」

「いえ、お待ちしております。ご一報いただければ今度はお茶の席でも」

「フフッ、では、今度は自前の着物を纏って参上いたしますね」

玄関先で名残惜しむような会話の時間。

さらりと次の逢瀬への誘いを入れてくれたのは社交辞令ではないのだろう。

だからこそこちらとしても『楽しみだ』とまっすぐに示して頭を下げ車に乗り込んだ。

徳嶺さんの自家用車であるのだろう。

運転手に自宅のマンションを告げて再び窓の外の姿を目に映して頭を下げる。

そんな私に最後まで柔らかな笑みで片手を上げて見送る姿は、車が近くの角を曲がるまで継続された。

なんて……不思議な巡り合わせであったのか。

なんて不思議な時間の経過。

竜宮城から戻った浦島太郎の様に、どこか夢現な自分が呆けてしまう。

そんな間にも恙なく走り進めた車は窓の外の景色を絶えず変えながらマンションの前へ。

車から身を出せば、雨上がりの夕刻の涼しい風が吹き抜ける。

その風にようやく現実に引き戻されながらマンションの部屋に足を進めた。

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