Lingerie~after story~
床に手を伸ばしたい私の意志とはまるで真逆。
不安定にグラリと揺れた身体は床から足が離れ、思考が追い付かぬまま彼に抱きかかえられ移動させられていたのだ。
そうして私が『下ろせ』なんて思考が働き口を開くより早く、静かに下降した体はソファの上に。
全ての流れに思考は遅れ気味で、瞬きも忘れた目だけが起きているリアルを映し込み、今はまさに……九条くんが覆い被さるように私の体を跨いだところだったり…。
って……、
「っ!!!ちょっ……なになになに!?」
「だから、脱がしてる」
ああ、確かに。
本当器用ね、今もほらサラッと腰ひもを…って、
「じゃなくてっ!!何で脱がされてるの私!?」
「そんなの、俺が不快だから」
「え、ええ~……なんか物凄く理不尽じゃない?」
「俺、着飾ってる寧々さん可愛いし好きだけど…腹が立つくらい嫌いなんだよね」
「し、支離滅裂だよ?九条くん」
「他の人間の気を引く様な魅力的な寧々さんは大っ嫌い」
「っ~~~」
いや、言いたいことは分かるのよ。
それだけ独占欲の表示で、裏を返せば好きすぎてって意味だってことは己惚れじゃなく理解している。
理解しているけどもさ……。
「……って……ちょっ…寧々…さん?」
「………っ……グスッ……」
「ええっ!?泣く!?」
「ズッ……泣いてな…」
「泣いてるじゃん。完全泣き声じゃん、ふるっふるっじゃん」
「っ~~~」
だって、『好き』の裏返しだって分かってはいるけどさ。
やっぱり、否定の言葉ってなんか痛いじゃない。
そんなはっきりきっぱり『嫌い』なんて言われたら、感情が誤作動の悲哀を揺らして勝手に涙が込み上げちゃったんだもの。
私だって泣く気はなかったのだ。
こんな些細な、しかもちゃんと裏の感情を知っていて泣くだなんて馬鹿げている。
だからこそ自分で何とかしようと浮かんでいた涙は零れるより早く拭ったし、込み上げていた感情も飲み込むように鼻を啜ったのに。
「あ~……もう、……はぁ…いい加減にしてよ」
「っ……ごめ……」
苦悶の表情に更に苦悶を。
眉間の皺が緩むどころか更に深く刻まれて、重苦しい溜め息と一緒に吐き出されたのは呆れたような声音。
さすがに今度は純粋に怯んで謝罪言葉が口から零れた。
だって、呆れられた。
違うの、ちゃんと意味は分かってるの!
そんな言い訳を喉元まで引き上げ唇を動かし始めていた刹那、
「死ぬほど可愛くて抑制限界」
「っ……は?」
「そんな風に泣き顔晒して……何?俺を煽ってるの?俺に何されたいの?滅茶苦茶に……犯してほしい?寧々」
「っ_____」
な、何で……何でそんな未だかつて史上、恍惚と興奮、歓喜しておられるのでしょうか?
く、九条様だ。
これ、まずい、九条様だよね?