Lingerie~after story~
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「……価値が無いと思ってた自分をね、久しぶりに見つめ直したら、そうじゃないのかもって思ったの」
「そう、」
「嫌いだと思い込んでいた今までのお稽古事もね、本当は好きだったの。楽しいと思ってた。好きだったの。……それをね、雨のおかげで思い出した」
「雨のおかげなんだ?」
「うん。……正確には、雨のおかげの出会いかな」
「出会い?」
「そうなの、今日ね素敵な人に出会って__」
お互いに高まりすぎた熱も感情も落ち着いていた時間。
ようやく今日の出来事を語り始めた刹那に、遮るようになり響いたのは自分の鞄の中で震える携帯の音。
メールやLINEではなく着信。
それを理解してしまえばなんとなく相手は予測でき、今までの和やかな感覚は一瞬で搔き消え走るのは緊張。
「ゴメン、」
そう響かせた一言は震えていなかっただろうか?
彼の腕の中を抜け出ると、置きっぱなしであった鞄の中から携帯を取り出し着信の確認。
早く出ろと言わんばかりに手の中で震えるそれの表示は予想を裏切ることはなく、更に強まった緊張を制御するように息を吐きだし応答をタップした。
「はい、お久しぶりですお爺様」
『変わりないか、寧々』
久しぶりに聞いても、機械を通しても威厳や厳格さが滲み伝わる低い声。
姿が見えずとも無意識に姿勢を正してしまう程だ。