Lingerie~after story~
あの家を離れてもこうして時折様子伺いの電話はあるのだ。
厳しいとは言え憎まれているわけではない。
私の体の心配や近況など、案じて気をかけてくれているのは分かる。
それでもどうしても染みついた印象や緊張感ばかりはどうにもならず、今もどこか萎縮しての受け答えになってしまった。
そんな自分の姿が昔と変わりなくて、さっきまで浮上していた感情が途端にしぼんで小さくなる。
情けない…。
「お爺様もお変わりないですか?お姉さまも、」
『こちらは変わりない。紗々(ささ)も宗一郎(しゅういちろう)くんと水守の家督を継ぐべく良くやってくれている』
「そうですか」
紗々。私の2つ上の姉。
お爺様の昔からの秘蔵っ子であった。
姉の紗々は優しく気立てが良く、何事にも怯まず凛と応じる女性であった。
妹の私から見ても憧れであり理想であり。
同時にいつだって比較される対象であったのだ。
水守の家に男児の跡目はおらず当然の形として姉が婿養子を取り、今は夫である宗一郎さんと2人でお爺様から代替わりするために家業に励んでいる状況だ。
ほら、やはり私がいなくとも水守の家に影響はない。
むしろ恙なく、その家名を厳かに世に広めているのだ。