Lingerie~after story~
私は水守に必要のない女であるのだ。
そんな結論に物悲しさと、開放感と。
今はどこか後者の方が優勢で、不意に安堵の対象を捉えようと振り返ったタイミングだった。
『話がある』
彼の姿を視界に収めたと瞬間、鼓膜を掠めた祖父の声がほんの少し重みを増した。
声のトーンや口調でその話の重さは充分に計り知れて、だからこそ内容も明かされていない切り出しに身構える様に固まって息を飲んでしまった。
……話?
『先程、徳嶺の当主自ら電話を頂いた』
「っ……」
『……実に良いお嬢さんだとお前の事を甚く感心し、褒めておられた』
「そう…ですか」
『その折に、一つ申し出を受けてな』
「申し出…ですか?」
『こうして機械越しに話す事でもない。水守としても重要な話になる。今すぐこちらに戻ってきなさい』
「今すぐに…ですか?」
〝水守にとっても〟
その一言で充分に大きな話だとは予想はつく。
なら、帰宅を求められても不思議ではない場面であるけれど、日を改めてではなく今すぐにとは。
事の早急さにはさすがに驚愕と戸惑いで言葉を濁して背後の彼を見つめる。
自分の目には、すでにスケッチブックを手にサラサラとデザインを起こしている彼を捉え。
それと同時に改めて耳に響く、
『寧々、』
「っ…わかりました。…今すぐに参ります」
私に逆らえる権限なんてありはしないのだ。