Lingerie~after story~
命じられてしまえば選択肢は一つで、渋りを見せたのはせめてもの足掻き。
最後には了承を響かせ通話を終えると、緊張感から解放された一息を響かせながら振り返る。
そうして今度は絡む黒と水色の色味。
「なんか急用?」
「みたい、ね。私…行かないと」
行かなくてはいけない。
それは絶対に変更のきかない予定であるというのに。
いや、むしろ変更がきかないからからこそ?
「…フフッ、『急用』いいの?」
「っ…行きたくないぃ〜〜」
どこの子供なのか。
『行かないと』なんて口走りながら足が向かったのはソファに座っている彼の元で。
最後の足掻きとばかり。
縋る様に身を寄せれば、そうされるのが分かっていたかの様に抱きしめ返してくる彼の温もりに甘えたくなるから困る。
そんな私を理解しているのだろう。
頭を滑る手の感触は労りに満ちていて、心地よく依存性が高い。
「…せっかく私の為に早く仕事切り上げてきてくれたのに、」
「気にしなくていいよ。その分家でも出来る仕事に没頭して待ってる」
「なるべく早く帰るから」
名残惜しい。
本当に全てに逆らってこのまま過ごせたらと心底思うのに実行までは出来ず。
諦めに近い意を決すると寄せていた体を離し、タクシーを手配すると着崩れていた着物を完全に脱ぎ衣装を変えた。