Lingerie~after story~
暗に、『帰すわけないでしょ?』の意だとは重々承知。
だからこそそれ以上無駄な言い争いもエネルギーの無駄だと顔を背けた。
私の身に纏う衣装が上等であるなら、今日の紗々ちゃんのそれも同じ事だ。
私とは違って既婚者の姉は袖の短い訪問着であるけれど。
こうして身なりを整え、周りに指示を出す姿はすでに当主としての器を完成させている様に見える。
すこし…昔のお爺様を思い出すよ。
チラリと盗み見た姉の凛とした品格にそんな事を思い、フゥッと息を吐きだすと気分転換だと立ち上がった。
「寧々ちゃん?」
「安心して、逃げたりするつもりないから。気分転換よ」
ま、そう言っても見張り役のおつきはついてくるんだけどね。
今更そんな事を気にするでもなく、日の光に満ちている庭を横目に縁の下の廊下を歩く。
別にお日柄よくしてくれなくていいのにな。
そんな嫌味を抱きながら晴天を見上げたところで意味はない。
まあ、晴天だろうが雨天だろうが私が迎え撃とうとする時間に変わりはないのだ。
そして私の揺るがない決心も。
何にせよ、まだ始まりもみせていない時間の事よりも自分の喉を潤す事の方が先だ。